医療コラム

腰椎分離症

2024.05.15

院長 小室元

腰椎分離症は、体の柔らかい子どもがスポーツなどで腰をひねったり反らせたりする動きを繰り返すことよって起こる、腰椎の疲労骨折です。

基本的に、学童期の子どもの体は弱いです。小学校高学年から中学生にかけて、身長が1年に10cm以上も伸びたり体重が急激に増加したりする時期があります。
つまり、この年代の子どもは骨と筋肉・靭帯が発育過程であり、圧迫や反り返りなどの物理的ストレスに弱いです。また、この時期に体を使いすぎると、後遺症を残すような重大な骨軟骨の障害が発生する可能性があるのです。

腰椎分離症は、「オーバーユース症候群」の一つです。これは「使いすぎ症候群」と訳されますが、練習のしすぎや不適切な練習方法によって徐々に痛みが生じます。部活動などのスポーツの現場では、少しくらいの痛みで練習を休めない状況があり、知らず知らずのうちに悪化させてしまう例も多いようです。

小学校高学年~中学生で、腰痛を訴えて受診する子どもがたくさんいます。徳島県の調査(2008~2010年 MRIを用いての疫学調査)では、小中学生で2週間以上腰痛が続く患者の約45%が「腰椎分離症」と診断されました。
腰椎分離症は、腰椎の後ろの部分に亀裂が入って分離してしまう疾患です。第4・第5腰椎に生じやすいといわれています。「体を反らすと腰が痛い」「腰が痛く、前屈姿勢で手が床に届かない」といった症状がみられます。

分離症が初期の場合は、レントゲン検査から得られる情報はほとんどありません。そのため、MRI検査を行い、骨髄浮腫を確認します。MRIは、放射線被ばくがないため、疑わしければ早めに検査することが重要です。
レントゲン検査で分離部分が確認できれば、すでに進行期です。この場合は、CT検査も行います。

治療では、第一に、運動を中止して安静にし、骨をつけることを目指します。そこで、腰椎を固定するために、コルセットを使用します。また、投薬とリハビリテーションも組み合わせます。
腰椎分離症は、小学校高学年~中学生で初期の段階であれば治癒することが多い病気です。
しかし、「少しの痛み」と思って、安静治療を継続できない方も多いです。腰椎分離症を治さずに放っておくと、大人になってから徐々に腰椎変形の原因となって「腰椎すべり症」に移行してしまい、腰痛と脚の神経痛やしびれで、日常生活に支障が出る恐れもあります。
将来の人生のためにも、休む勇気を持ちましょう。

治療は早期であるほど治る確立も高くなります。治療を施した場合、初期で骨がつく確立は90.5%、進行期で骨がつく確立は58.3%というデータがあります。(2015 森ら 中部整災)
お子様が腰の痛みを感じられた場合は放置せず、当院にご相談ください。