パーキンソン病の治療

パーキンソン病の治療

写真:パーキンソン病の治療

社会の高齢化とともに、パーキンソン病の患者様は爆発的に増加しています。しかしながら、パーキンソン病の発症早期では症状が軽いために、年齢のせいと考えられてその発症が見過ごされていることが少なくありません。

当院では、日本神経学会 専門医(指導医)が治療を担当します。患者様からのアクセスの良さを活用して、パーキンソン病の早期診断に努めています。「手がふるえる」「動作が鈍くなった」「よく転んでしまう」などの症状に気づかれた際は、気軽に脳神経内科にご相談ください。

パーキンソン病の治療では、早期からの「薬物治療」「リハビリ」「環境調整」を組み合わせます。当院は専門医療機関と連携しているため、必要な場合には検査入院やリハビリ入院も可能です。

パーキンソン病とは

パーキンソン病は、中脳の「黒質」という場所の神経細胞が少しずつ減少し、その結果、「ドパミン」という神経伝達物質が不足することで起こる慢性の神経の病気です。

50歳以上で発症することが多く、発症後はゆっくりと進行していきます。

パーキンソン病の症状

運動症状

パーキンソン病の4大症状といいます。

動作緩慢

動きが遅くなり、細かな動作も、しにくくなります。

  • 顔の表情が乏しい
  • 大きな字を書けない
  • 歩いている時の腕を振らず歩幅も小さい
  • 歩きだす時に、最初の一歩が踏み出しにくくなる(すくみ)

振戦

安静時に手足がふるえます。手足を動かすとふるえは小さくなります。

  • 椅子に座っている時の手足のふるえ
  • 歩いている時の手のふるえ

筋固縮

他人が手や足、頭部を動かす時に感じる抵抗のことです。

こわばりとして感じることはありますが、自覚は少ないです。

姿勢保持障害

バランスが悪くなり、転倒しやすくなります。

非運動症状

便秘、頻尿、立ちくらみ、易疲労性、抑うつ、嗅覚低下 など

パーキンソン病の検査・診断

まず、病歴を伺い、神経系の診察をして、「運動症状」と「非運動症状」の有無を確認します。

そして、パーキンソン病が疑われれば、頭部MRI検査、必要があればMIBG心筋シンチグラフィー、DATスキャンと呼ばれる核医学検査を行い、診断します。

見分ける必要のある疾患

「進行性核上性麻痺」「多系統萎縮症」「大脳皮質基底核変性症」「多発性脳梗塞」「正常圧水頭症」など、パーキンソン病とよく似た症状の病気は少なくありませんが、上記の診察と検査を組み合わせれば、見分けることが可能です。ただし、病気の初期には見分けが困難なこともあり、その場合には慎重な経過観察が必要です。

薬剤性パーキンソニズム

一部の抗うつ薬・抗精神病薬・制吐薬・胃薬によっても、パーキンソン病と同様の運動症状が生じることがあります。この場合は、原因となる薬の使用を中止することで症状が改善します。そのため、患者様の薬歴を確認することも重要です。

パーキンソン病の治療

現在のところ、パーキンソン病を根治する方法はありません。

「薬物療法」と「リハビリ」を組み合わせて症状をコントロールし、できるだけ長い間、生活の質を保つことを目標にします。

薬物療法

脳の中で不足した「ドパミン」を補充することが、薬物療法の基本です。

患者様の年齢、症状の重さ、認知症合併の有無を踏まえて、お薬を選びます。

レボドパ製剤

脳内で直接ドパミンに変換され、効果が高く効果の発現も速いです。

パーキンソン病の薬物治療の基本となる薬です。

ドパミンアゴニスト

脳のドパミン受容体を直接刺激します。レボドパ製剤に比べて効果の持続が長いです。

※薬剤の効果について

パーキンソン病を発症した後の3〜5年の間は「ハネムーン期」と呼ばれ、レボドパ製剤やドパミンアゴニストがよく効き、一日中安定した症状のコントロールが可能です。

しかし、ハネムーン期を過ぎると、薬の効果の減弱のために安定した症状のコントロールが困難になり、一日の中で症状が変動するようになります。そこで、レボドパ製剤の内服回数を増やしたり、レボドパ製剤の作用を増強する薬を追加したりすることが必要です。

また、パーキンソン病治療薬の内服で十分な効果が得られなくなった進行期のパーキンソン病では、レボドパ製剤の経腸療法や持続皮下注療法、脳深部刺激療法(DBS)などのデバイス治療が行われることがあります。

※薬物療法の注意点

パーキンソン病治療薬は、嘔気や食欲低下などの消化器症状、幻視、眠気等の副作用を生じる可能性があるため、治療では、これらの副作用出現の有無に注意していきます。

リハビリ

パーキンソン病の発症初期から、薬物治療に加えてリハビリを行うことが重要です。

リハビリでは、運動機能の回復だけでなく、神経保護作用があり、パーキンソン病の進行そのものを遅らせる可能性があるといわれています。

環境調整

歩行障害が進行して、歩くことが困難になった場合や、姿勢保持障害のために転びやすくなった場合には、環境調整が必要です。「手すりの設置」「段差の解消」「カーペットの撤去」「家具のレイアウトの変更」などの助言を行います。

患者様が介護認定を受けられそうであれば、主治医意見書を記載して、出来るだけ早期に介護保険の申請を勧めます。区分変更手続きの場合も同様です。その後、当院地域連携室を通じて、ケアマネジャーに早期の介入を依頼します。

生活でお困りのことがあれば、ご家族やケアマネジャーからの相談にも応じ、治療を進めていきます。

指定難病認定

パーキンソン病は国が定める「指定難病」の一つです。

以下の条件を満たせば、助成の対象となります。

  • 重症度がホーエン・ヤール重症度分類 3度(軽〜中等度のパーキンソニズム、姿勢保持障害あり、日常生活に介助不要)以上

かつ

  • 生活機能障害度 2度(日常生活、通院に部分的介助を要する)以上

指定難病に認定されると、医療保険の自己負担分の負担が軽減され、所得に応じて月額の自己負担限度額が設定されます。