医療コラム

人工関節置換術について

2024.04.17

院長 小室元

現在の医学では、すり減ってしまった関節を元にもどすことはできません。
人工膝関節置換術とは、悪くなった関節の軟骨を含め、関節表面を削りとり、そこに人工関節をかぶせる方法です。変形性関節症や関節リウマチにより関節の軟骨が消失し、骨が露出している状態に対して行います。

患者様によって異なりますが、一般的に人工関節置換術の対象となるのは次のような場合です。
●痛みがひどく、仕事や行楽、さらには日常生活の動作が制限されている方
●薬やリハビリでは改善されない方
●変形性関節症や関節リウマチなどで関節が腫れていて、痛みの強い方
●レントゲンなどの画像で関節の変形が進行している方

また、人工関節置換術には次のような効果が期待できます。
●痛みを取り除くこと。または、痛みがほぼ消失すること。
●変形や痛みによって制限されていた関節の動きを取り戻すこと。
●他の関節への負担を軽くすること。
 ※痛みのある関節をかばうことで、他の関節にも影響を及ぼすことがあります。
●活動範囲が広がることで、下肢の筋力がついてくること。
これらの効果により、歩行や生活の動作が大幅に改善されます。

人工関節の素材は、コバルトクロム合金やチタン合金などの金属とプラスチック(超高分子ポリエチレン)の組み合わせなどがあります。固定方法は、骨セメントを用いる方法と用いない方法があります。骨セメントを使用しない人工関節は、手術後に特殊な加工がされた表面に骨が入り込んで固定される仕組みです。また、ネジで固定するものもあります。
このように、人工関節には様々な種類がありますが、患者様の骨の状態や生活習慣などに合わせて、適切なものや大きさを選択します。
耐久性は約20~30年で、10年以上入れ替えしない確立は、95%以上といわれています。

手術は感染予防のためにクリーンルームという手術室で行います。全身麻酔もしくは脊椎麻酔をかけ、手術に要する時間は約1時間半~2時間です。
手術は関節部分を切開するわけですから、皮膚、皮下組織、筋肉にダメージがあります。そのため、術後のリハビリはとても重要です。癒着・拘縮を防ぐために可動域訓練を行い、筋力低下を防ぐために下肢筋力訓練を行います。

当院の人工関節手術は、連携病院の施設を利用して院長が執刀する場合と、その病院の医師に執刀してもらう場合があります。できるだけ負担の少ない手術を目指しています。
気になることは何でもご相談ください。